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名古屋国際会議場のサステナブルな取り組み

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作陶デザイナー 滝上 玄野さん

次世代へ伝える地元の魅力 老舗蒲鉾屋6代目 大矢蒲鉾商店 大矢 晃敬さん
次世代へ伝える地元の魅力 老舗蒲鉾屋6代目 大矢蒲鉾商店 大矢 晃敬さん

常滑焼、瀬戸焼など陶製文化が根付いている愛知・名古屋において
「デザインする」をテーマとして陶製作品を創作する滝上玄野さん。
ライフスタイルに彩りを添えるユニークな陶製と作家さんの魅力をご紹介します。

陶製作品のイメージを覆す、“ライフスタイル”をデザインする挑戦

滝上さんの創作活動について簡単にご紹介いただけますか?

STUDIO.ZOKでは陶製を中心に生活に寄り添ったデザインの企画・制作やグラフィックデザインを行っています。“陶製”=“器”というイメージを持たれる方が多いですが、そのようなイメージを変え、人のライフスタイルを充実させて、ひと時の楽しみを感じられるような陶製の作品づくり。土の持つ可能性をもっと広げていけたらと考え、デザインの企画・製作を行っています。

落ち葉をモチーフにしたユニークな箸置き

陶製のサボテンはSTUDIO.ZOK代表作の1つ

“水引の結び目”から発想を得たアクセサリー

滝上さんの作品を拝見しましたが、陶製のサボテンやアクセサリーなど、とてもユニークだと感じました。これらの作品を作ろうと思うきっかけ、アイデアはどのようなところにあったのでしょうか?

陶製のサボテンづくりのきっかけは私が本当の植物をうまく育てられなかったことです。植物を上手く育てられない人にとって、「植物のある生活」に魅力は感じつつも、過去に枯らした経験から栽培を躊躇してしまうんですよね。

自分自身もそんな思いを抱いていた中、サボテン農家さんなどからいろんな種類のサボテンがあることを教わり、サボテンの形やとげ模様、ドットに自然物ならではの美しさを感じました。そのアート的な造形美の力を借りて“別の美”を表現できれば、育てられない人でも楽しめるオブジェとして成立するのではないかと直感したことがきっかけです。

私が陶製の植物を作るとこにはあえて、土の風合い残すようにしています。自然物に寄せる目的のフェイクグリーンではどうしても本物との差を意識してしまいますし、それではつまらないと思いました。そのため、土の自然な色合いも活かしつつ、バランスを考えて別の美しさを表現できればと考えています。

工房では陶製のサボテンに本物の花やドライフラワーをあしらった作品が見られますね。

花も陶製で、と挑戦したこともありますが、本物の花の美しさやそれを超えるものを表現することは難しいです。陶製ではいやらしさがでてしまうんです。
そこで、陶製にあえて拘らず、自分の好きな花を挿せるインテリアとして活かそうと考えました。違う素材は引き立ちあうことが多いので、作品の表情が変わり、新しい魅力に繋がると思います。陶製を主軸にしながらも、自由な発想の中でより良いものを「デザインする」ことを大切にしています。

“面白いと感じる人生を” 陶芸の道を選んだ瞬間

ご両親の作品(写真上)と制作風景(写真下)

滝上さんは陶製作家のご両親のもとで生まれ、名古屋芸術大学をご卒業されています。やはり幼少の頃から陶製作家を夢見ていたのですか?

いえ、むしろ、あまり「なりたい」とは思いませんでした(笑)子どもの頃に両親の作品の絵付けなどを部分的にですが手伝うこともあり、ものづくりの面白さは感じつつも、決められた作業をこなすことを“義務”のように感じ、どうしても楽しいと思えませんでした。自分発信ではないんですよね。

そのため、高校はセラミック科もありましたがデザイン科に進学しました。家具やグラフィックなどを学ぶ中で、グラフィックに魅力を感じ、大学ではグラフィックを専攻。卒業後は印刷会社にグラフィックデザイナーとして就職しました。

グラフィックデザインからの陶製作家へ、どのような思いからでしょうか?

学生時代はグラフィックデザインの創作性に魅力を感じていたのですが、実際は私がいた会社では既存のデザインのパターン変えのような作業がメイン業務で、広告をコンセプトから考えてデザインするような仕事は稀でした。違和感を覚える日々から勤めていた会社を退職。両親のもと陶芸の手伝いをする中で、グラフィックにはない“形に価値があるもの”の魅力を改めて感じ、グラフィックを活かしながら作陶家として挑戦することを決めました。

会社を辞め、新しい道に進むこと。不安でとても勇気がいるように感じます。なぜ挑戦しようと思ったのでしょうか。

不安はありました。むしろ、最初は怖さの方が大きかったです。食べていけるのか。1年くらい悩んだ時期もありました。

ただ確実に“面白い”と感じる道に進む実感がありました。私たちは一生の内、働いている時間の割合はとても多いですよね。自分の生き方を考えた時に、失敗しても良いから挑戦して“面白い”と思って生きたかった。「一から何かを創りたい」「デザインしたい」という思いで突き進みたいと感じました。

それぞれ表情が違う作品だから、一期一会の出会いを

作品づくりの中での大変さ、辛さなど感じるときはありますか?

想定と違う色が出るときですね。安定して色を作るために何度も試行錯誤を繰り返しますが、仮に10回作っても、最初はうまくいくのはそのうち1回あるかどうかくらいです。失敗の連続。何度も作り直すことには相当な時間と忍耐が要りますが、妥協はしたくないと思っています。

あと、使用する釉薬はほんの少しの温度変化によって風合いが変わってしまうことがあるため、最初は上手く作れても2回目以降に再現できないということもあります。

ただし、大変さ故に完成したときの嬉しさは大きいです。
例えば、昔サンプルを作って何度も試行錯誤してもイメージどおりにできず、しばらく封印していたデザイン。ある日、アイデアが浮かんで、久しぶりに作ってみると上手く作れることがあります。その瞬間は本当に嬉しさがこみ上げてきますね。

同じデザインの作品でも一つ一つ違いがあり、そこにも魅力だと感じます。

そう言ってもらえると嬉しいです。それも手作りの魅力だと感じます。
全ての作品は一つ一つ手作りですので、同じ作品を作っても個別に差が出ます。
あえて違いを感じられるようにと思いながら作っています。さまざまなお客様との一期一会、出会いを通して、より多くの方のライフスタイルを豊かなものにできる作品を作れたらと思っています。

既成概念にとらわれず 新たなステージへ挑戦する

今後挑戦したいことはありますか?

色々とやりたいことは頭にありますが、現在は香港や台湾などに展開している陶植のさらなる海外展開です。先日はNY NOW(北米最大規模の雑貨展示会:https://nynow.com/)にも出展させていただきました。アメリカやヨーロッパ等、広く海外の方にも見ていただける機会を作っていきたいです。そして、同じく越境ECにも力を入れて海外への発信を強化していけたらと考えています。

自分の作品がどのように評価されるのか、どのように見てもらえるのか、新たな試みであり楽しみでもあります。そのためにも常に自分への問いかけをしながら制作を進めていきたいです。

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